ラクに走れる姿勢が一番!自転車旅行のためのセッティング術

今回は自転車旅行のためのポジションについて考えます。工具はスパナとアーレンキー(L字型の六角棒)のみ。誰でもできる簡単な調整です!

普段乗りの買い物チャリ、どんなセッティングになっていますか?

足が着くようにサドルを下げている。BMXのようにサドルの前が上がっている。懐かしい「カマキリ」のようにハンドルを上げている……。

これらは自転車旅行にはどれも不向き。パワーロスや足腰への負担が大きく、ケガや身体の故障につながりかねません。

そこで試したいのが「三点調整」という方法。

ここで言う「三点」というのは手足とお尻。つまり車体と身体が触れる所。この三点に関係があるハンドル・ペダル・サドルの位置関係を調整することで、格段に「走れる」自転車になります。

①サドルの高さは脚の長さに合わせて!

まずはサドルの高さ。ここは脚の長さに合わせて調整します。見た目の印象がガラッと変わる、やりがいのある部分です!

街に溢れるチャリを見ると、サドルは下げておくのが一般的なようです。たしかに低重心で倒れにくく、足が地面に付くことで、停車中も簡単に支えられて安心。

でも、これでは脚を始終曲げたまま回すため、パワーロスが大きくなります。また力が身体の重心からズレた方向に向くため、うまくペダルに力が伝わりません。

そこで、サドルを少し高くしてみましょう。踏み込んだ時に脚がちょうど伸びる高さ。これによって力の向きが重心から真っ直ぐ外に向く形になり、力が最後までしっかりペダルに伝わるようになります。

②サドル角度は水平が基本!

次にサドル角度です。変化は地味ですが、一番「走り」に影響する部分。納得いくまでじっくり調整したい所。

サドルの前を上げると、重心が後ろに移って座り心地は安定しますが、上半身が後ろに逃げて踏み込みに力が入りません。また上体が起き易くなるので、ハンドルが遠い印象になります。

逆に後ろを上げると重心が前に移り、前のめりな感覚になります。それを踏み込みに活かせればいいですが、大抵の場合、手でハンドルを突っ張ってしまい手の負担が増すことに。

理想は上体が起きず且つ前に倒れない位置です。そのため基本は水平ですが、実際はサドルや身体のクセによって変わってきます。調整して家の周りを少し走って、また調整して……、根気の要る作業ですが、ここが一番大事!

サドルは前後にも調整できます。ただ極端に偏ったセッティングは、パーツやフレームを傷めるので、なるべくセンターをキープ。

③ハンドルは握りやすい位置にあることが大切!

ハンドルはステムの高さとバーの取り付け角で調整します。ハンドルを下げると踏み込む力は増しますが手の負担も増えます。逆に上げると手の負担が減ってラクになりますが踏み込みの力が逃げやすくなります。負担が少なく握りやすいポジションを探しましょう。

この三点調整はアッチをいじればコッチが狂って……、の繰り返しで、なかなかすぐには決まりません。それでも、一度「楽に長距離を走れるポジション」が出てしまえば、旅行中の疲れや故障のリスクはグッと減ります。それ自体を楽しみつつ、気長に取り組みましょう。

最後に三点調整の3つ目、ペダルについて。普段から使っていない人にビンディングペダルはお勧めしません。引き脚が使えて登坂の救世主になるというビンディングも、慣れていないと引き脚自体が使えず、単に足をペダルに固定するだけになってしまうからです。

自転車旅行はレースではありません。登坂がキツければ降りて歩けばいいし、立ち止まりたくなる瞬間もあります。それを考えるとビンディングの使用は、ジャマになってしまう事の方が多いんです。