足りなくなる前に補給すべし。自転車旅行中の給水・食事について

せっかくの旅行だから、美味しいもの、食べたいですよね!日本各地、いわゆる「名物」というのはどこに行ってもあるものです。各地の名物に舌鼓を打つのも旅の醍醐味。ぜひ楽しんでください!

ただ、走行中となると話は別です。適切なタイミング・内容で補給しないとトラブルの原因になることも。今回は走行中の補給についてお話しします。

①一番大切なのは水分補給

一番気を付けておくべきは水分の確保。人体の3分の2は水分でできているそうです。つまり生命活動を行っていくためにそれだけの水分が必要だということですね。

発汗などにより体重の1%分(体重60kgならば600g)の水分が喪失すると、ノドが渇き始め、3%で消化器系の機能低下による嘔吐や下痢、血流低下による頭痛や倦怠感など、色々な脱水症の症状が現れます。それほど微妙なバランスであなたの身体は維持されているわけです。

嘔吐や下痢、頭痛が起き始めると症状は加速度的に悪化します。こうなってから水分を摂っても、点滴などで直接体内に入れない限り身体が受け付けず、症状はなかなか回復しません。

特に夏場の自転車旅行では陽差しが強くなくても大量の汗をかきます。ボトルホルダーなど、常に手の届くところに水を携帯し「ノドが渇く前に飲む」ことを心がけましょう。

②水分と一緒にミネラル分も補給

人間の身体は、水分が抜けてしまうのを防ぐため、血液中や細胞内にたくさんのミネラル分を溶かしこんでいます。その浸透圧の差により水分や栄養素は消化管から体内に吸収されます。

しかし汗をかくと、このミネラル分は汗と一緒に体外に出て行ってしまいます。汗がしょっぱいのはこのため。そうなると体内ではホメオスタシスという機能が働いて、水分を外に押し出すことで元の塩分濃度を保とうとします。

そうなると、いわゆる「脱水(不自然な発汗、嘔吐や下痢)」が起こり、先に書いた脱水症の症状はどんどん悪化します。

それを防ぐにはミネラル分を補給するしかありません。手軽なのはスポーツドリンクですが、他にもミネラル分の多い麦茶と一緒に梅干しを一つ、という方法もあります。必ず水分と併せてミネラル分を補給しましょう!

③食事は炭水化物を中心に

普段の食事ではビタミンやタンパク質、繊維に糖質と、バランスよく食べることが大切ですが、走っている時は少し事情が違います。

走行中、脳は状況を把握したり筋肉を動かす指令を出したりと、働きっぱなし。加えてブドウ糖以外の栄養素では働けません。また筋肉を動かすエネルギー(グルコース)を作るのも、糖質が分解したグリコーゲン。

筋肉組織・肝臓内には多少グリコーゲンが貯められていますが、長くは持ちません。また自転車のような比較的激しい運動では、脂肪から糖質を作る反応はあまり起きず、使い切ってしまうとそれ以上筋肉は動かせなくなります。世に言う「ハンガーノック」です。

これを防ぐにはとにかく糖質を補給すること。つまり走行中の食事は炭水化物がメインになります。コンビニのおにぎりで十分ですから、朝・昼・晩とは考えず、小まめに補給しましょう。また、消化・吸収を早めるため、よく噛むことも大切です。

他の食品も食べたいですが、タンパク質や脂肪は消化・吸収に時間がかかり胃がもたれる原因に。野菜など繊維質は、胃の中ですり潰すために、一時的に大量の水分を使います。それを考えると走行中はお勧めできません。

昼間のうちはコンビニのおにぎりで我慢して、美味しい物は一日走り終えた後、夕食でいただきたいものです。

いかがでしょうか。水分もミネラルも糖質も、足りなくなる前に補給。これが基本です。