気付かないうちに迷惑をかけないために。観光スポットでのマナー

行く先々での観光は、自転車旅行の面白さの一つ。しかも、そこまで自分の足だけで辿り着いたわけですからよりいっそう楽しい!

でも、自転車乗りというのは、気が付かないうちに周囲に迷惑をかけていることが多々あります。今回は観光スポットでのマナーについて考えてみたいと思います。自転車で旅行する以上当たり前の、これだけは最低でも守ってほしいものをピックアップしました。

・人の多い場所ではバイクを降りる

これはもう当たり前中の当たり前。自転車は軽く見積もっても10kg、装備とあなたの重量を合計したら80kgくらいになることもあります。歩くような速度で走っていても通行人にぶつかれば、相手を突き倒すくらいの衝撃は与えてしまいます。

もちろんこれは交通事故です。場合によっては有罪判決、賠償請求を受けることも起こり得ます。観光スポットなど人が多いところでは、必ず自転車を降りましょう。

・スタンドなどで「自立できる」自転車にしておく

ダサい。恥ずかしい。カッコ悪い。きっと反対の声がたくさん上がると思います。でも、なんとなく自転車を立てかけたその土塀が重要文化財だったりすることは観光地ではよくあります。特に奈良や京都、静岡の三保の松原など、寺社の敷地、街並そのものが世界遺産になっているようなところもあるんです。

立てかける必要のない自転車レースにスタンドはいりません。でも、スタンドを付けない自転車旅行は、そのバイク自体が迷惑をかける存在になってしまいます。ぜひスタンドを付けて、自転車が自立できるようにしておきましょう。

・自転車を押して歩き回らない

自転車というのは案外大きなものです。人が多い所で自転車を押して歩き回ることは、ぶつかったり、ハンドルに引っかかったりと、他の人への迷惑になります。そのスポットに入る前に駐輪場を見つけて自転車の安全を確保してから、思う存分楽しみましょう。

・歩ける靴を用意しておく

自転車のペダルに靴を固定するビンディングシューズ。引き足も使えて大変便利なのですが、つま先や足の裏に「クリート」という金具が付いています。これは鍛鉄などでできており、床材を簡単に傷つけるほどの強度を持っています。

そんなものを履いたまま土産物店や飲食店に入ったりしたら、歩き回ったところにクリートの跡が付いてしまいますね。お店の方にとって、こんな迷惑な話はありません。ぜひ、歩き回っても迷惑にならない靴を一足用意しましょう。

・ヘルメットは外す

意外な盲点なのはヘルメットです。最近は、日本のメーカーでもスパルタンなデザインが増えており、カッコよくなってきましたね。でも人混みではあなたが首を動かすたびに後頭部のトゲトゲが周囲の人の顔の近くに行くことになります。ゴーグルのせいで強面に見えてしまう事も手伝って意外と怖いものです。

また、ヘルメットは意外に大きなものです。頭頂部の厚さは5cmほどあります。そうなると、普段は当たり前にくぐれていたところにヘルメットをぶつけたりすることが多々あり、お店の商品や歴史的価値のある建物などを傷つけかねません。

乗らない時は、必ずヘルメットは外しましょう。

いかがでしょうか?自転車乗りが白い目で見られてしまうのは、ここに挙げたような、普段なら何も考えずにできるはずの気配りが、自転車と一緒にいることでできなくなってしまう事に理由があります。

要は、自転車を降りたら普通の歩行者と同じように振る舞えばいいだけの話なのですが、どこかを面倒くさがると、気付かないうちに迷惑をかけてしまいます。周囲に気を使える旅行者でありたいものです。

明日の活力のために。「リアルタイム旅行記」のススメ

今回は、「孤独」への対処法についてご紹介します。

行く先々での人との出会いは旅行の楽しみの一つですが、自転車旅行は移動そのものが旅行なので、案外、黙々とペダルを回している時間が長くなります。

自転車仲間と楽しくツーリングするのであれば気にも留めない話かもしれませんが、一人で自転車を走らせていると、時々フッと「孤独」を感じることがあります。

そもそもサイクリング自体、レースでもない限り孤独なスポーツであることは否めませんが、特に人通りの少ない朝夕の静かな山道を走る時などは、人恋しさも増してしまうもの。でも、それは人間が社会的動物であることの顕れですから、別に恥ずかしい事ではありません。

①SNSに書き込みをしてみよう!

そんな時、最も簡単でオススメなのが、SNSなどを利用した「リアルタイム旅行記」です。携帯電話やスマホから、facebookのタイムラインやMixiの日記に、どこまで進んだか、天候はどうか、バイクや身体の調子はどうかなどを書き込んでみましょう。

友達が「いいね!」を押してくれたり、コメントを書いてくれたりすると、寂しいときには本当にありがたいもの。「いいね!」の言葉はそのまま「Alle!(行けッ!)」に見えてきます。これだけで「明日も頑張ろう!」と思えるから不思議です。

とはいえ、一日中休憩のたびに書き込みをしていたのでは、読む側も大変です。頻繁に書き込みお知らせが届いては新鮮味がなくなって飽きてしまいます。だから、日中は走ることに集中して、宿泊場所についてから一日の行動を振り返り、一番ネタとして面白かったことを書き込みましょう!

②ネットに動画や文章を上げてみよう!

また、ブログやYouTubeなどにまとまった文章や動画を上げることもオススメです。走っている間に見つけた「ちょっといい風景」や「ネタになりそうな珍事」はぜひスマホの動画機能で撮っておきましょう。

編集にはスマホの動画編集アプリを使います。パソコンでの使用を前提にしたソフトのように細やかな機能や大きな保存容量(長い再生時間)はありませんが、無料のアプリでも字幕やフィルタを使ったハイクオリティな動画を簡単に作ることができます。

とはいえ、編集には慣れていてもそれなりの時間がかかります。編集そのものも楽しい作業ですから、スマホの充電が可能な場所で身体を休めつつ、気長にやりましょう。

今回は孤独への対処ということでお話ししていますが、SNSの書き込みや動画・ブログのアップは、もう一つ大切な役割を持っています。それは「あなた自身の安否の確認」です。

自分の身体一つと自転車一台に全責任を背負わせて行う自転車旅行は、やっている本人には楽しい遊びなのですが、他の人にとっては「キケンな行為」と映ることが多いです。

特に家族や友人などは「今日はアイツ、ちゃんと目的地まで走れたのかな?」と心配していることがほとんど。だからこそSNSなどで安否の情報が入ってくるのは嬉しいものなんです。

ここで紹介した「寂しさ対策」は、寂しくない人にとっては全く不要です。でも、何もしなかったとしても、「心配している人がいる」ということは忘れず、家族など、親しい人にはぜひ「旅行が順調に進んでいることを伝える連絡」は必ず入れましょう。

明日も気持ちよく走るために!自分でできるボディメンテナンス法

一日走り終えると、その達成感や疲労、また目的地まで辿り着けた安心感からついつい怠ってしまうボディメンテナンス。でもこれを怠ると翌日自転車にまたがった瞬間に脚に激痛が走ったり、走り始めてすぐに筋肉疲労でバテてしまったりとロクなことになりません。

明日もベストなコンディションで走り出すために、今日一日頑張った身体の労わり方をご紹介します。

一番先にしなければならないことは「脚から疲労物質を抜く」作業です。具体的にはマッサージ。特にペダリングで一番酷使されるふくらはぎと腿の筋肉は、たくさんの乳酸(疲労物質)をため込んでいます。宿泊場所に着いたら、なるべく早くケアしてあげましょう。

方法は脚のむくみを取るリンパマッサージの方法とほぼ同じで、簡単です。クリームを塗ったら、親指と人差し指を使って筋肉を挟み、その方向に合わせて揉みほぐしていきます。

乳酸を分解させるためになるべくそれを太い血管に送ってしまいたいので、末端(足の裏)から始めて徐々に体幹の方へ。慌ててやっても効果は薄いため、2~30分かけるつもりでじっくりと。これがポイント!

ひと通りマッサージが済んだら、続いてストレッチなど軽い運動をします。腱や筋をよく伸ばしておくことで翌日の凝りを減らせます。

次は入浴中に行うボディメンテナンス。「温冷浴」という方法です。

まず末端(手足)に冷水をかけて冷やします。芯まで冷えてきたら今度はちょっと熱めのお湯に浸かります。汗ばむ程度に温まったら、また冷やす。これを数回繰り返します。その度に血管が収縮・拡張を繰り返すため、ポンプの働きで血行がよくなり、細胞組織に溜まっていた乳酸が血液内に流れていきます。

ホテルのユニットバスでもできなくはないですが、面倒な場合は、湯船に浸かる代わりにシャワーを使うとラクにできます。ちなみに最後は「冷やす」で終わらせること。汗も引いてスッキリしますし、むくみの防止にも役立ちます。

最後は疲労を軽減するために摂りたい「食品」です。せっかくの旅行だから美味しい物を食べたい。もちろんそれはオッケーです。美味しい食事に一品プラスするつもりで考えて下さい。

疲労回復に一番効果があると言われているのは「クエン酸」。乳酸を分解する働きを持っています。

食品の酸味は、ほとんどがこのクエン酸によるもので、梅干しやレモン、お酢のほか、果物やジュースの中にもたくさん含まれています。世の中には走っている最中に梅干しを舐めているライダーもいるくらいです。そのくらいクエン酸は積極的に摂っておきたい食品です。

もう一つ摂っておきたいのが「タンパク質」。傷んだ筋肉組織の修復を助けます。積極的に食べようとしなくても口に入りやすい物ですが、意識的に摂っておいて損はありません。

糖質(炭水化物)については意見が分かれるところです。走り終えた直後に糖質を摂ると疲労が溜まらないという話はありますが、自転車旅行は基本的に糖質や電解質(ミネラル)を常に補給しながら行うため、ムリに摂ろうとしなくても身体に入ってきます。

また、摂取してもすぐに使わない場合は燃えづらい脂肪として蓄えられてしまうので、摂るならば翌日の朝食でと考えた方がベターです。

いかがだったでしょうか。今日の疲れを残さないこと、これが明日もまた楽しく走れるための一番のクスリです。

最後にアルコールについて少しだけお話ししておきます。一日に100kmも走ったら、その後はキリッと冷えたビールを、というのは誰でも考えつくもの。しかし、アルコールは利尿作用が高く飲んだ以上の水分や塩分を排出してしまいます。「ほろ酔いかな?」くらいに留めておきましょう。

危ないのは雨よりも雷!?天候変化への対応

屋外を走る以上、自転車旅行中の天候の変化は避けられないもの。でも「雨が降るかもしれない」なんていう小さな理由で旅行を断念するのはもったいない。対応を覚えておくことで、天候の変化というトラブルも、イベントに変えられます!

雨で一番怖いのは低体温症。人間は体温がおよそ36℃の時に最も活動しやすいようにできています。そのため風邪などで発熱すると、たった1℃や2℃の体温変化で、パフォーマンスは急激に下がります。これは体温が下がった時も全く同じです。

自転車で始終運動しているわけですから、短時間の雨であれば心配いりません。ホメオスタシスといって、末端(手足)の温度が下がると体幹の温度を上げて体温を保つという機能がもともと私たちには備わっています。

怖いのは長雨などでその機能を超えるような寒さにさらされてしまったとき。体幹温度が35℃(平熱マイナス1℃)を下回るような状態になると、身体が震え出します。これは筋肉を動かすことで発熱を促す反応で、ホメオスタシスの限界を超えていることを意味します。

こうなると集中力が切れたり自転車をうまく操れなくなったりして転倒や事故の危険がありますから、一度雨宿りをして体温を上げ直す必要があります。

とはいえ基本は「濡らさない、冷やさない」です。装備に雨具があれば、ムシムシしてイヤですがぜひ使いましょう。

雨への対応は「濡らさない、冷やさない」。もう少し付け加えれば濡れて滑りやすいマンホールのフタなどを避けるくらいで対応できます。自転車旅行中、一番怖い天候の変化は雨よりも雷です。

幸い日本の国土は起伏に富んでおり、また殆どの平野部には送電線や避雷針を設置した建物があるため、落雷の直撃を受けることは稀です。でも、ゼロではありませんし、直撃でなかったとしても感電、転倒することは十分に起こり得ます。

雷がなぜ怖いのかというと、あなたがその場所にいる限り避けることができず、また予兆が全くないからです。また落雷が直撃した場合、死亡することもあります。そうでなかったとしても旅行の継続はまず不可能になります。

走行中に空が光り始めたら、音が鳴るまでの時間を計りましょう。気温や湿度によって多少の変化はありますが、音ほ速さは秒速340mほどです。つまり光ってから3秒で約1km。

雷を発生させる雷雲(積乱雲)の底面は上空2000mほどですから、光ってから6秒以内に音が聞こえ始めるという場合、すでにあなたはその雲の下に入ってしまっています。決して冗談ではなく本当に、次の避雷針はあなたかもしれません。

そんな状況に陥ってしまった場合はどうしたらいいでしょうか?

まずは今いる場所の危険度を確認しましょう。立った状態で手を45°の高さに伸ばし、そのままクルッとその場で一回転します。100m以内の場所にその指先より高く見える建物や木があれば、とりあえずひと安心。そのまま走って早めに遣り過ごせる場所を探しましょう。

指先より高く見えるものがない場合は一刻の猶予もありません。すぐに近くの建物に飛び込みます。公園のトイレなどでもかまいません。

河川敷のような、逃げ込む場所すら全くない場合。

木の下にいると危ないという話はよく聞きますね。これは木に落ちた雷が「側撃」といって、他の物や人体に飛び火するためです。

ところが側撃を避けられる3mほどの距離があれば、木の近くにいても問題はありません。ただし、しゃがみこんだりして姿勢を低く保ち、その木が45°以上に見えるようにしておきましょう。

雷に「絶対」はありません。音が鳴り始めたら、速やかにコンビニなどに避難しましょう。その場にいないのが一番の対応です。

メカトラブルへの対処。自転車旅行中のバイクメンテナンス

自転車旅行でなくても、自転車に乗っていると、どうしてもパンクやネジ類の緩み、消耗によるメカトラブルは起こるもの。

ただ、日々の点検を怠らなければ、ほとんどのトラブルは未然に防げます。ただ、どうにも防ぎきれないトラブルがあることもまた事実。

今回は、防ぎようのない自転車旅行中のメカトラブルへの対処についてお話しします。

一番起こりやすいメカトラブルは、いわずと知れたパンクです。これはチューブに空気を入れている自転車の構造上、避けられないこと。1000km走って平気なこともあれば、たっ100mでパンクに見舞われることもあります。

実際に旅行中にパンクしてしまったらどうしましょうか?

しっかりした技術があれば、その場でパッチを当てて修理することもできます。でもゴム糊は手が汚れるし面倒です。手っ取り早く解決するためには、やはりチューブ交換が一番。慣れてしまえばものの10分で再スタートできます。

とはいえ、それ相応の道具がないとチューブ交換そのものができません。タイヤレバーと空気入れ、それから交換用チューブはバックパックに入れておきましょう。

世の中には「パンク防止剤」という商品も存在しています。空気を入れる穴からチューブ内に入れる、サラサラしたゴム糊のようなもので、穴が開いたときに空気が外に漏れ出るのを防いでくれる優れものです。

ただし、これが入っているとパンク修理でパッチを当てた際、ゴム糊がいつまで経っても乾きません。もし穴が開いたら使い捨てになってしまいますから、自転車旅行ではお勧めしません。

もう一つ不意に起こるトラブルが、スポークの破断です。車輪のハブからリムまでをつないでいるスポークには、常に強い張力(引っ張る力)が働いているので、段差を無理やり越えたりすると、切れてしまうことがあります。

ママチャリのようなスポークのテンションが低い自転車であれば、1本や2本切れても走行できないほどの影響はありませんが、スポーツ車の場合、1本切れるだけでリムが大きく変形してしまい、走行不能になることもあります。

この場合、大切なことは「自走できる状態にすること」です。スポークを交換するためにはとても面倒な作業が続きます。そのため、本格的な修理はショップに任せることにして、とりあえずショップまで走れる状態にすることを目標にしましょう。

まず、折れたスポークが駆動系やブレーキなど他の部分に干渉しないよう、テープで他のスポークに留めます。次いで、ニップル回しで、他のスポークのテンションを「緩めながら」タイヤの振れを取っていきます。

テンションに差が出過ぎると収集が付かなくなってしまうので、一気にニップルを回し過ぎないように注意しながら緩めていくことが大切。もちろんニップル回しは使用しているニップルと同じサイズのものを使いましょう!

振れが取れて、とりあえずブレーキシューの幅以内に収まったら、あとはショップでちゃんと調整してもらえますから、その場でそれ以上調整する必要はありません。とりあえず走り出して、ショップを探しましょう!

いかがでしょうか。今回は自転車旅行中に起こる「避けられないメカトラブル」への対処ということでお話ししました。

もしかしたら、シフトワイヤーが切れたり、転倒でハンドルがずれたり、といったトラブルを思いついた方がいたかもしれませんが、これらは普段からの点検や整備をしっかりしていれば、旅行中に故障することはまずない箇所です。

できれば自転車屋さんで、事前にチェックしてもらってから出発したいところです。

足りなくなる前に補給すべし。自転車旅行中の給水・食事について

せっかくの旅行だから、美味しいもの、食べたいですよね!日本各地、いわゆる「名物」というのはどこに行ってもあるものです。各地の名物に舌鼓を打つのも旅の醍醐味。ぜひ楽しんでください!

ただ、走行中となると話は別です。適切なタイミング・内容で補給しないとトラブルの原因になることも。今回は走行中の補給についてお話しします。

①一番大切なのは水分補給

一番気を付けておくべきは水分の確保。人体の3分の2は水分でできているそうです。つまり生命活動を行っていくためにそれだけの水分が必要だということですね。

発汗などにより体重の1%分(体重60kgならば600g)の水分が喪失すると、ノドが渇き始め、3%で消化器系の機能低下による嘔吐や下痢、血流低下による頭痛や倦怠感など、色々な脱水症の症状が現れます。それほど微妙なバランスであなたの身体は維持されているわけです。

嘔吐や下痢、頭痛が起き始めると症状は加速度的に悪化します。こうなってから水分を摂っても、点滴などで直接体内に入れない限り身体が受け付けず、症状はなかなか回復しません。

特に夏場の自転車旅行では陽差しが強くなくても大量の汗をかきます。ボトルホルダーなど、常に手の届くところに水を携帯し「ノドが渇く前に飲む」ことを心がけましょう。

②水分と一緒にミネラル分も補給

人間の身体は、水分が抜けてしまうのを防ぐため、血液中や細胞内にたくさんのミネラル分を溶かしこんでいます。その浸透圧の差により水分や栄養素は消化管から体内に吸収されます。

しかし汗をかくと、このミネラル分は汗と一緒に体外に出て行ってしまいます。汗がしょっぱいのはこのため。そうなると体内ではホメオスタシスという機能が働いて、水分を外に押し出すことで元の塩分濃度を保とうとします。

そうなると、いわゆる「脱水(不自然な発汗、嘔吐や下痢)」が起こり、先に書いた脱水症の症状はどんどん悪化します。

それを防ぐにはミネラル分を補給するしかありません。手軽なのはスポーツドリンクですが、他にもミネラル分の多い麦茶と一緒に梅干しを一つ、という方法もあります。必ず水分と併せてミネラル分を補給しましょう!

③食事は炭水化物を中心に

普段の食事ではビタミンやタンパク質、繊維に糖質と、バランスよく食べることが大切ですが、走っている時は少し事情が違います。

走行中、脳は状況を把握したり筋肉を動かす指令を出したりと、働きっぱなし。加えてブドウ糖以外の栄養素では働けません。また筋肉を動かすエネルギー(グルコース)を作るのも、糖質が分解したグリコーゲン。

筋肉組織・肝臓内には多少グリコーゲンが貯められていますが、長くは持ちません。また自転車のような比較的激しい運動では、脂肪から糖質を作る反応はあまり起きず、使い切ってしまうとそれ以上筋肉は動かせなくなります。世に言う「ハンガーノック」です。

これを防ぐにはとにかく糖質を補給すること。つまり走行中の食事は炭水化物がメインになります。コンビニのおにぎりで十分ですから、朝・昼・晩とは考えず、小まめに補給しましょう。また、消化・吸収を早めるため、よく噛むことも大切です。

他の食品も食べたいですが、タンパク質や脂肪は消化・吸収に時間がかかり胃がもたれる原因に。野菜など繊維質は、胃の中ですり潰すために、一時的に大量の水分を使います。それを考えると走行中はお勧めできません。

昼間のうちはコンビニのおにぎりで我慢して、美味しい物は一日走り終えた後、夕食でいただきたいものです。

いかがでしょうか。水分もミネラルも糖質も、足りなくなる前に補給。これが基本です。

あなたの運転は大丈夫?運転マナー向上計画

自転車は道路交通法上「軽車両」に分類される車両です。自転車に免許は要りませんが、この法律は守らなければなりません。

事故を起こしてから「知らなかった」では済まされませんし、そのせいで自転車旅行をリタイヤするのではもったいない。加えてあなたも過去に運転マナーの悪いドライバーやライダーに辟易したことがあることでしょう?「では、あなたは大丈夫?」、そう聞かれて胸を張れるように、運転マナーをおさらいしておきましょう。

①交通ルールの遵守

自転車は車両なので原則車道を走らなければなりません。例外は歩道を走る標識や表示がある場所、また交通量が多い、幼児・シルバーであるなど、やむを得ない事情で車道を走れない場合。

この場合は車道寄りを徐行しなければなりません。「徐行」と言われるといまいちピンと来ず「ゆっくりってことでしょう?」くらいの認識になりがちですが、危険を感じた時にすぐ止まれなければ、それは徐行とは言えません。自転車の場合、およそ時速4~5kmです。

また、自転車は車両ですから、一方通行の場所以外は左側通行です。でも行きたい場所が右側にあったりして、そんな面倒なことはやってられない!そんな時は自転車を降りましょう。

自転車を降りれば歩行者ですから道路の右側を歩くことができます。ただその場合も歩道の中、もしくは道路の右端を歩いて、他の車両や歩行者に注意しましょう。

他にも一時停止の標識や表示に従ったり、二段階右折の標識に従ったりと、守るべき交通ルールはたくさんあります。あなたを事故から守るためのルールですから、必ず守りましょう!

②自分の存在を周囲に知らせる

歩道を走っていて「なんでこのオバサン避けてくれないんだろう」と思ったことはありませんか?理由は簡単、あなたに気付いてないから。人間の目や耳は、基本的に前方からの情報を受け取るようにできています。そのため、後方からの刺激にはなかなか気付きません。

後方から自分の存在を知らせるためにはちょっとした工夫が必要です。一番簡単なのはベルを鳴らすこと。ベルの高い音は騒音の中で目立つので、耳に異常がなければ大抵は気付いてもらえます。

とはいえベルを鳴らすのは「ジャマだ!どけ!」って言っているみたいで気が引けますね。そこでオススメしたいのが自転車に小さな鈴をつけておく方法。真後ろで急にベルが鳴るよりも穏やかに気付いてもらえます。

また、夜間の走行では前照灯(ヘッドライト)とテールランプは必須です。夜間、自転車というのは歩行者と同じくらい見えなくて怖い存在です。

試してみれば分かりますが、テールランプの効果は絶大です!後ろから追い抜いて行く自動車が、徐行してくれたり広く幅を取ってくれたりします。早く気付くことでドライバーにも余裕が生まれ、それだけの対応しやすくなるからです。

③目と耳は絶対にふさがない

自転車に乗るときに周囲の情報を受け取っているのは目と耳です。どちらか片方の情報が欠けるだけで反応速度は大きく下がってしまい、危険を察知・対処することができません。

そのため、走行中に音楽を聴いたりスマホやナビを操作したりすることは厳禁。一昔前、走行中の携帯操作や通話が刑事罰の対象になって話題となりましたが、自転車であっても道路交通法は守らなければなりませんから、これは自動車に限った話ではありません。

いかがでしょうか?ここに書いたようなことを旅行中、ちょっと意識しておくだけであなたの運転マナーはさらに向上し、周囲の自動車や歩行者とも良好な関係を維持できるはず。

マナーを守って、ぜひ楽しい自転車旅行を成功させましょう!

疲れない走り方をマスター!最重要ポイントは「ケイデンス」

本来自転車というのは「疲れずに自力で遠くまで行く」ために発明された乗り物です。もちろん100kmも200kmも走れば誰だって疲れます。でも、人によっては30km走っただけで息が上がってしまう事も。今回はそんな人たちのために、疲れない走り方について取り上げます。

①疲れない最重要ポイントは「ケイデンス」を一定に保つこと

「ケイデンス」とは1分間のペダルの回転数を表す言葉です。ケイデンス100といえば1分間に100回転。ケイデンス30といえば1分間に30回転です。

筋肉というのは力を入れている時間が長ければ長いほど疲労します。これは毎秒1回のスクワットを100回行うのと、30秒間空気イスを続けるのを比べれば分かると思います。力を入れる時間の合計はそれほど差がありませんが、空気イスは30秒間力を入れっぱなし。この方が疲れるはずです。

ケイデンス30で脚を回すのとケイデンス70で回すのでは、力を入れている時間が長くなる30の方が疲れます。ただ、例えば150というように上げすぎてしまっても、今度は1回転で進む距離が短くなって、結果的に疲れてしまいます。個人差や好みはありますが、70くらいにしておくのが一番効率的なようです。

②ケイデンスは「シフトチェンジ」で一定に保つ

上り下りが激しいコースでケイデンスを一定に保つのは難しい事です。

そこで意識したいのがシフトチェンジ。スポーツ車にはたくさんのギヤが付いています。ギヤを重くすればスピードが出るし、軽くすればスピードは落ちます。映画でも一気に「逃げ」に出たりするときにギヤを重くする描写がありますね?でも疲れない走り方的には、これは間違い。

ロードレースを見ていると、選手たちは常にシフトをカチャカチャと操作しています。理由は路面に合わせてシフトチェンジすることでケイデンスを一定に保つため。スピードを上げるためにギヤを重くするのではなく、スピードが乗ってきて必要以上にケイデンスが上がってしまうからギヤを重くしているんです。こちらが本来の使い方。

上り坂に入ると、ペダルが重くなってケイデンスを維持できなくなります。その時は維持するためにギヤを落とす。逆に下り坂ではペダルがスカスカになる。今度はギヤを上げてケイデンスを維持します。

こうしてケイデンスを一定に保つことで力を入れている時間が一定に保たれ、リズムも生まれます。これが疲れない走り方の一番のポイントです。

③ペダルは「母子球」で踏む

ケイデンスが大切なのはもう理解できたと思いますが、もう一つ意識したいこと。それはペダルに置く足の位置。

ママチャリが身体の前で大腿部を上下する運動でペダルを回すのに対し、スポーツ車は、股関節を中心に足を突き出す運動でペダルを回すためふくらはぎの筋肉も使います。

ふくらはぎに仕事を託すことで全てを大腿部で賄わなくてすむため、ママチャリよりラクに長距離を走ることができるわけですが、この機能を活かすためには、ふくらはぎの筋肉がつながっているアキレス腱を「バネ」として使える状態にしておく必要があります。そうすることで大腿部だけはなく、脚全体をエンジンとして使う事ができます。

このとき土踏まずがペダルに乗っていると「バネ」が伸びた状態で固定されてしまい、うまく力が入りません。そのため、土踏まずではなく母子球(親指の付け根)をペダルに置きます。

ためしにつま先立ちしてみて下さい。そうするとふくらはぎの筋肉が働いているのが分かると思います。これをペダリングに使うわけです。

いかがでしょうか。この3点に意識を向けて脚を回すと、驚くほどラクに長距離を走ることができますよ!

装備が揃ったら予行演習をしてみよう!

「コースも決まったし装備の準備もできた。後はユメに向かって漕ぎ出すだけ!」……そう思っているあなた、ちょっと待った!

いざ走り始めてしまったら、手元に持っているものだけがあなたの全財産。クツが合わないとか、荷物が重いとか、セッティングがイマイチとか、そういったことへの対応は、大きく制限されてしまいます。

初心者であれば、大量の電池や工具箱など「実は不要なもの」をバックパックに入れていて荷物が重い、というようなことは特によくあること。ぜひ一度、短距離の予行演習を行って、装備の具合を確認しましょう。

予行演習の走行距離は50km程度がいいでしょう。隣の市まで行ってくるとか、そのレベルです。走り慣れた道、夜間の車通り・人通りが少ない時間帯で大丈夫。もしこの条件で何か問題があるとすれば、実際に自転車旅行に出たとき、それは必ずトラブルのもとになります。

予行で走る時にチェックしたいのは以下のとおり。

・荷物の重量は適切か

50km程度の走行でバテてしまうようであれば、バックパックに入れた荷物が重すぎます。衣類は下着類など最低限に。また食品や給水用の飲み物など「現地調達が可能な物」は置いて行きましょう。

・荷物の重量バランスは適切か

体幹に対して左右均等に重さがかかるようにするのは基本ですが、重い物が上に偏っても下に偏っても、背中や腰への負担になります。普段疲れないところに疲れが出る場合は見直しを。

・ペダリングやハンドリングに影響するものはないか

バックパックのストラップや空気入れのチューブなど、ペダリングやハンドリングのたびに脚や腕に当たるものがあると、気になって思うような走りができません。ストラップがブラブラしているような場合はテープや糸で固定してしまいましょう。

・スムーズなペダリングができるセッティングか

何も背負っていない場合とバックパックがある場合では、身体にかかる重量のバランスが変わります。バックパックを背負った結果、手が痛くなるようであれば、少しハンドルを上げるなどの対処が必要です。

・車輪の回転に巻き込まれそうなものはないか

シフトワイヤーのような、車輪の回転部に近い位置にあるものが振動などで回転に巻き込まれると、車輪がロックして故障や転倒、事故につながります。ショップで調整する必要があります。

・可動部にガタの出ているところはないか

普段は気にならないレベルでも、荷物の重量が増すことでベアリング部のガタつき気付くこともあります。これもショップでの調整が必要です。

・ブレーキ、シフトはしっかり機能するか

普段より重い分、ブレーキは早めにかける必要があります。それでも利きが悪ければ当たり位置の調整をしましょう。

・ライトや撮影機材はしっかり機能するか

ライトがしっかり点灯するのは言うに及ばず、意外な盲点は車載動画を撮るためのスイッチです。停車しないと押せないような場合は見直しが必要です。また、走ってみると案外ライトやカメラがガタつくことがあります。増し締めの必要があるかもしれません。

このような点を中心にチェックしましょう。その結果を踏まえて行きつけの自転車屋さんに相談すれば、適切なアドバイスや調整をしてもらえるはずです。

また、ウエアの着心地や靴の履き心地なども見ておいた方がいいです。特にウエアは化繊のものが多いため、長時間着ているとチクチクして痒くことがあります。

いかがでしょうか?特に経験の少ない自転車旅行初心者は、この予行演習を大切にしたいものです。繰り返しになりますが、走り始めてから困っても後の祭りです。不安要素を全て解決してから出発しましょう!

持ち物を総点検!絶対に忘れちゃいけないものをチェックしよう

目的地や旅行の日程、ルートも決まって宿泊の予約も取れると、いよいよ出発の気運が高まってきてテンションも上がります。でも、実際に走り始めてから大切なものを忘れてきたことに気付くと、せっかくの気分も台無しに。

そんなことを防ぐために、自転車旅行に必要な装備を一度、総点検しましょう。ここでは数日の自転車旅行を想定して、絶対必要な装備と、なるべく持っておきたい装備をリストアップします。当たり前すぎる物や細かな物もありますが、ちゃんと持っているかこのブログを読みながら一緒に確認してくださいね!

品目右側の数字は必要数です。数字がないものは必要な分だけ持っていきましょう。

①全員必須!絶対必要な装備

・自転車1 ・ライト1 ・ヘルメット1 ・ゴーグル1 ・グローブ1
・シューズ1 ・上下ウエア1 ・ワイヤー錠(自転車用カギ)
・財布(現金) ・キャッシュカード
・空気入れ1 ・タイヤレバー2 ・交換用チューブ2 ・ニップル回し1
・救急箱1 ・洗浄用の水1 ・保険証1 ・常用薬(普段飲んでいる場合)
・携帯電話(スマホ)1 ・携帯電話用充電器1
・バックパック1 ・輪行バッグ1

どれが欠けても安全な自転車旅行ができなくなるものばかりです。ここに挙げたものは全員必須、必ず用意しましょう!なお「輪行バッグ」については別途「用語集」の中で詳しくお話しします。

現金は、お札などは財布に入れてバックパック、小銭はジップロックなどに入れてウエアのポケットに入れておくと便利。やってしまいがちなミスが、各種の充電器を忘れること。特に複数の電気製品を持っていく場合は要注意。

なお、修理関係の装備はそれを使って実際に修理ができるかの確認も必要です。

②車載動画を撮影する場合の追加装備

・撮影用カメラ1 ・交換用バッテリー ・記録用メモリ(SDカードなど)
・カメラ用充電器1 ・カメラマウント用雲台1

カメラをきちんと固定・機能させられるかを事前に確認しておく必要があります。また、予想される撮影時間を考えてバッテリーやメモリの数は調整しましょう。

宿泊場所で動画の編集をしたい場合はそれに合わせたツール類も必要になりますが、インターネット環境やノートPCなどが必要になるため、旅行中は携帯で撮ったものを編集する程度にしておいた方が良さそうです。

③できれば持っていたい装備

・着替え用下着2、靴下2 ・雨具(専用のものでなくても可)1 ・タオル2
・反射材(夜間走る場合のみ)・テールランプ(夜間走る場合のみ)
・ライト用充電器(充電式電池使用の場合)1
・パンク修理キット1 ・アーレンキー
・大きめのゴミ袋1 ・ハサミorナイフ1 ・タイラップ(プラ製の縛りヒモ)

ゴミ袋やタイラップなど、何に使うかよく分からないものもあります。ゴミ袋はキズの保護や簡易雨具に。タイラップは装備の結束や止血など、様々なことに使えます。

このリストは飽くまで「自転車で目的地に着くことを目的とした」場合の装備です。行った先での観光や野宿など、したい事がある場合はそれに合わせた装備を適宜追加しましょう。

最後に、要らないもののリストです。特に経験の浅い初心者は、不安から余計なものをあれこれとバックパックに押し込んでしまいます。

・工具箱 ・スポーク、ワイヤーなど交換用部品 ・食品、粉末飲料
・着替え用ウエア、衣類 ・カメラ(デジカメ)、三脚 ・各種取扱説明書

万が一に備えて……、という気持ちは分かりますが、現地調達が可能なものや他の方法で代用できるものばかりです。また、自走さえできれば、修理は自転車屋さんでできます。思い切って置いていきましょう!